現地の人との対談をそのままインバウンド動画に。- CJPFコンテンツ制作 -

山形県庄内地方の各地を二人のナビゲーターと共に巡るCJPFのインバウンド動画を制作した。
この記事では制作の流れを追って紹介します。

山形 again!

2021〜2022年にかけて四季を通して山形県のインバウンド動画を撮影したが、2023年秋にも山形県庄内地方のインバウンド動画を撮影した。今回は内閣府のクールジャパン戦略クールジャパン官民連携プラットフォーム事業(以下、CJPF)として。

前回の動画はモデルはいたものの絶景、食、歴史・文化に焦点を当てた、よくある表面的に綺麗に見せるスポット撮影的動画だった。しかし今回は、もっと各スポットに時間をかけて、二人の外国人ナビゲーターが現地の人たちと濃密に対話や体験を楽しみ、二人の目を通して、庄内を味わえる動画に仕上がっている。

CJPF LIVE 外国人プロデューサーと巡る山形の旅〜Part1食と地域文化

CJPF LIVE 外国人プロデューサーと巡る山形の旅〜Part2自然と精神文化

この内容はこれまでCJPFがスタジオで行っていた「食と食文化」をメインテーマとしたクールジャパンライブを現地で行おうとする取り組みだ。

日程

2泊3日の撮影日程の中で、各地で3名にそれぞれインタビューをし、5人の現地ガイドからお話を伺い、より深く庄内を体験していった。訪れた場所は以下の通り。

  • みなと市場(酒田市)

  • 山王くらぶ(酒田市)

  • スイデンテラス(鶴岡市)

  • すず音(鶴岡市)

  • 庄内ざっこ、ハレトケ、お茶漬け幸子(鶴岡市)

  • 知憩軒(鶴岡市)

  • 湯殿山仙人沢(鶴岡市)

  • 湯殿山神社(鶴岡市)

  • 宮下坊(鶴岡市)

編集

当初は20分の映像1本を制作予定だったが、あまりにも対談・体験の内容が濃すぎるため20分に収まりきらず、動画を前半・後半に分けて各20分で作り、合計40分の動画になった。それぞれの構成は、前半がDay1.2の「食」が詰まった内容。後半がDay2.3の湯殿山・羽黒山の山伏体験など、修験者の精神文化を学ぶ内容となっている。編集ではまず、それぞれのインタビューをまとめるところから始めた。会話を全て聞き取り、ポイントを絞り、さらに話をまとめるため余計な言葉をカットしていく作業。
撮影は基本的にカメラ2台体制で。スイデンテラスでの対談のみカメラ3台で撮影した。

インタビュー

現地の人々の話も興味深いものばかりだが(特に湯殿山のガイド帯刀春男氏が語る、空海と修験者の即身仏伝説はカットするのが惜しかった)それ以上に、二人のナビゲーターが体験を振り返りながらどのように感じたのかを聞くことは面白く、体験者のレビューが動画の約3分の1の大きなボリュームを占めるのは、これまでのインバウンド動画にはない内容となっている。

以下、動画内の対談の一部を抜粋して紹介。

山中大介 氏   Yamagata Design CEO

山中大介 氏 Yamagata Design CEO

本州の中で、これだけ広い平地部が残っている場所ってほとんどないんですよ。で、その場所がずっとその江戸時代から農業大国で。庄内は水田しかないんですよ。その景色自体がすごく面白いなというので、それをエンターテインメントとして外から来た人に楽しんでもらう空間を作るのは、外から見た目として面白いと思って。

山中氏には、限られた地域資源で観光地を生み出す成功事例、高付加価値化、海外需要開拓などのノウハウについてインタビューした。またナビゲーターの二人は、山中氏との対談とスイデンテラスや周辺のアクティビティ体験後にコメントを収録し、海外の目から見たスイデンテラスのユニークなポイントなどを話してもらった。

長南光 氏 知憩軒 女将

庄内の在来種として「もってのほか」という食用菊です。この土地に合っているから在来なんで、農薬などなくても丈夫に育つんです。庄内のここに残るもので、「この風土に適した野菜を食べて欲しいな。」という想いから、自分たちも好きだし、ずっと食べ続けてきました。

庄内の農家民宿レストランの先駆けとして全国から多くの人が訪れる知憩軒。
ナビゲーターの二人は庭で育てている食用菊や野菜の収穫体験をし、とれたての野菜を味わった。地域の風土にあった食材に触れ「あれより新鮮なものって他にある!?本当においしくて、体にも精神面にも良くて最高の体験でした。」と振り返った。また、長南さんの人柄を気に入り、田舎に遊びに来た孫とおばあちゃんのような関係で会話を楽しむ光景は視聴者にもとても微笑ましく見えるだろう。

伊藤新吉氏 羽黒山参籠所「斎館」料理長

お山のものを体に取り入れて、お山と一体化するというのも山伏の修行なんですよ。
それぞれの食材にそれぞれの効能があって、そういったものも含めて食べます。
出羽三山では精がつくものは、食材として使ってはいけない。なぜなら食べ物というのは死なない程度に、修行できるギリギリのラインで食べていればいいという考え方。逆に力は修行によってお山からいただきなさい。というのが出羽三山の精進料理です。

斎館には、精進料理を習いに訪れる客も少なくないという。そのような人たちは斎館に滞在しながら、伊藤氏とともに胡麻豆腐などの料理を作る。過去には海外から訪れ、帰国後、自分のお店でベジタリアン向けのメニューを提供する人も。運ばれた料理と効能などを紹介するシーンでは、山伏の知恵を学ぶことができる。

watanabe yutaka氏 山伏

ここから2446段。日本で2番目に長い石段。両脇の杉並木は樹齢500年くらいになっています。二の坂、三の坂を上がると山頂にある三神合祭殿。月山、湯殿山、羽黒山の神社も併せて祀っているんです。ここをお参りすると出羽三山をお参りしたのと同じご利益がありますから。

羽黒山を案内した山伏のwatanabe氏は、いつも冗談を言って私たちを和ませながら参道を案内した。石段に隠された盃やとっくり、ひょうたんなどの彫り物も教えてくれた。これはガイドなしには気が付かないもので、山伏の辛い修行の中にも遊び心が垣間見えた面白いものだった。

帯刀 春男氏 湯殿山ガイド

いろんな説があるんですが、湯殿山は空海が開いたと言う伝説があるんです。即身仏というのは生きながら仏になる。弘法大師・空海が即身仏になったということを当時の皆さんがそれあやかって、私も弘法大師の近いところにいきましょうと。庄内に6体あるんです。全国で十何体あったかな?だからここは即身仏のメッカといわれているんです。

帯刀氏は、山伏が修行をしながら食べたであろう植物や、和菓子の爪楊枝に使われる香りの良い植物などを教えてくれたので、私たちは山伏を追体験するようなトレッキングをした。また湯殿山に祀られている即身仏伝説は、当時の人々にとっての弘法大師の影響力の強さを感じさせるものだった。

二人のナビゲーターと共に庄内の魅力をふんだんに味わえる動画になった。
詳細はぜひ動画で楽しんで欲しい。

まとめ

今回制作した山形県庄内地方のインバウンド動画は、庄内地方の目立たないけれど、確かにそこにあり、自己主張しない日本人らしい侘びとさび、素朴さと力強さを思い起こさせるものとなった。

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